ヒアリング第一回
津波セーフPJでは、全国の津波リスクのある地域で“アンテナ高く”対策に取り組む現場を訪ね、実際にどのような工夫や備えがなされているのかを直接お話し伺っています。今後も同様のヒアリングを重ね、各地の取り組みを紹介していく予定です。
2025/5/17(土)災害訓練のタイミングでお邪魔させていただきました!🙏🙏
地域住民の方々や地元高校生、消防の方々も集まっていて、ちょっとしたお祭りの様なワクワクする防災訓練です。施設内での避難訓練後、駐車場での救命いかだ開封デモンストレーションも行われました。🚣♂️また、イベント後は軽食が振る舞われ、地域の方々との交流のひと時となっていました!












救命いかだ開封デモ動画はこちら↓
スーツケースサイズのボックスから10名乗りの船舶用救命いかだがわずか数分で完成します!

屋上の救命いかだが守る、入居者と地域の命
2020年7月、熊本を襲った豪雨災害。被害を受けた高齢者施設の中で、避難できた施設とそうでなかった施設。その違いは「事前の備え」でした。この経験が、静岡市清水区の介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ三保の松原」に津波対策として救命いかだ(自動膨張いかだ)を導入する大きなきっかけとなりました。
「想定外」にも備える決断
ラ・ナシカ三保の松原は、南海トラフ地震による津波浸水想定区域に位置しています。ハザードマップ上では「屋上まで津波は到達しない」とされていますが、施設には自力での避難が困難な入居者も多く、「想定外」の事態にも備える必要があると判断。さらに、救命いかだは操作が簡単で、他の津波対策デバイスよりも設置スペースが小さく、維持管理も容易な点が導入の決め手となりました。
「50名の高齢者全員を収容できること」も、選定の重要なポイントだったといいます。
導入プロセスと実践的な訓練
導入にあたっては、実際に使う機会がないからこそ、訓練で使用方法を実演してもらえることが大きな助けとなりました。施設職員だけでなく、地域の東海大学付属静岡翔洋高等学校や地域スポーツチーム(ミニバスケットボール)などにも協力を呼びかけ、地域ぐるみで避難計画を策定しています。
施設は3階建て。1階の入居者は一度屋外に出て外階段から屋上へ、2・3階の入居者は内階段で屋上へ避難するルートを訓練で検討し、実際のシミュレーションを重ねて最適化しました。
南海トラフ地震臨時情報が発令された際も、「屋上にいかだがある」という安心感が、入居者や家族の心理的不安を和らげています。
導入後の反応と波及効果
救命いかだの導入は、入居者や家族に大きな安心感をもたらしただけでなく、「こうした対策を講じている」こと自体が施設の信頼性向上や営業力強化にもつながっています。見慣れない設備への抵抗感もなく、むしろ従業員の防災意識が高まるきっかけとなりました。
また、独自の対策が注目され、能登半島地震以降はメディアでも取り上げられるなど、他の施設や自治体への波及効果も生まれています。
明確になった避難ルートと今後の課題
「屋上にさえ避難できれば助かる」という明確な避難イメージが共有できたことで、各階ごとの避難ルートや避難先が具体的になりました。
一方で、訓練には全員が参加できているわけではなく、今後はより多くの入居者・従業員に避難ルートやいかだの使用方法を周知・定着させる必要があります。
地域とともに、さらなる防災力強化へ
今後も地域と連携しながら訓練を継続し、防災力のさらなる強化を目指していきたいとしています。
「想定外」も想定し、命を守るための備えを積み重ねる――ラ・ナシカ三保の松原の取り組みは、津波リスクを抱える多くの施設や地域にとって、大きなヒントとなるはずです。
※本記事は、ラ・ナシカ三保の松原へのインタビュー(2025年5月17日実施)をもとに、tsunami-safe.tech編集部が作成しました。




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