静岡市清水地区―南海トラフ巨大地震の国の新想定で、「最短2分で最大11メートルの津波が到達」とされたこの地域。約3,000世帯、6,000人が暮らすこの町では、10年以上前にこの想定が発表された時、大きな衝撃とともに「2分でどう逃げるのか」という現実に直面しました。
「2分や3分ばっかで津波がばーって来るわけでしょう」
「もう逃げるっていうことはできないと思いますね」
こうした声が、地域の厳しい現実を物語ります。自治会でも「2分で避難は難しい」「避難タワーが100メートルごとに必要では」など、現実的な対策を巡る議論が続きました。

ハード・ソフト両面の進展と新たな課題
この10年で、清水地区では海抜4メートルの防潮堤が整備され、巴川河口には新たな水門の設置も進んでいます。毎年の避難訓練や、ビル・マンションへの避難先の確保など、住民の意識も高まってきました。
しかし、若い世代の転出による高齢化や、移動が難しい方々の増加など、新たな課題も生まれています。「要援護者をどう支援して避難するか」が今後の大きなテーマです。
“2分”の現実に向き合う――もう一つの選択肢「救命いかだ」
私たち「Tsunami Safe ~津波から命を守るために~」プロジェクトは、こうした地域の現実に寄り添い、新たな避難の選択肢として「船舶用救命いかだ(津波救命艇)」の導入を提案します。
高台や避難タワーへの迅速な避難が基本ですが、清水地区のように「高所が近くにない」「移動が困難な高齢者や障がい者が多い」地域では、従来の避難方法だけでは限界があります。
救命いかだ(津波救命艇)の特徴
- 住居や施設の近くに設置でき、避難距離を最小限に抑える
- 浮揚して津波をやり過ごすため、どんな高さの津波にも対応できる
- 内部には食料・水・トイレなども備え、7日間の避難生活にも対応
- 高齢者や幼児、障がい者など“避難弱者”にも使いやすい設計
- 小規模な集落や施設単位での導入が可能
東日本大震災の教訓から生まれたこの「浮いて生き延びる」発想は、津波リスクが高い沿岸部や、避難困難地域にとって新しい命綱となり得ます。
地域とともに――命を守る多様な選択肢を
「Tsunami Safe」プロジェクトでは、清水地区をはじめとする津波リスク地域の皆さんと協力し、船舶用救命いかだの普及・設置に向けた取り組みを進めていきます。避難タワーや防潮堤と並ぶ“もう一つの命の選択肢”として、救命いかだの活用を地域防災計画に加えることで、誰もが「自分の命を守れる」社会を目指します。
「2分で津波が来る」―その現実に、私たちはあきらめず、多様な備えで立ち向かいます。
清水地区の議論・検討は、全国の津波リスク地域にとって大きなヒントとなるはずです。あなたの地域にも、“浮いて生き延びる”選択肢を。





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