東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「そのとき、どうする?展」に参加し、防災について改めて考える貴重な機会となりました。本展は、参加型体験を重視した新しいスタイルが特徴で、来場者それぞれが主体的に防災や災害について向き合える工夫が随所にありました。
自分事として防災に向き合う「問い」の体験
会場に入るとまず目に飛び込んできたのは、Q1からQ10まで並ぶ防災に関する問い。「安全な場所って、どこ?」「十分な備えって、どのくらい?」など、誰もが現実的に考えなければならないテーマがスマートフォンから入力できる仕組みです。私自身も悩みながら回答し、「大切な人と連絡が取れない。そんなときに備えて、どうする?」といった問いには具体的な備えについて答えました。災害は突然やってくるものだからこそ、考えを言葉にすることで自分の備えを見直すきっかけになります。



展示を通して考えが深まる
回答を記入したあと、それぞれの問いに関連した展示を順番に見学します。展示内容は多岐に渡り、過去に発生した災害のデータビジュアライゼーションや絵画、シミュレーションなどを通じて日本や地球が経験してきた災害を振り返ることができます。たとえば、日本経済新聞社の「『地震列島』日本」や、ヤマップの「流域地図」は、視覚的・地理的な情報で防災リスクを実感させてくれました。
また、防災意識を見つめ直す体験型インスタレーションも印象的でした。柴田大平「防災グラデーション」や「そのとき、そのとき、」では、災害が発生する頻度や防災に対する構え方について、日常生活のなかで抱く不安や希望を視覚的に表現。自分が書き込んだ答えと照らし合わせることで、気づきが生まれました。
未来の防災と希望のかたち
プロダクト展示では、災害時の通信断絶に対応する研究や新しい情報発信ツール、生活を支える取り組みなどが紹介されていました。「NERV防災アプリ」や避難所用の紙間仕切りシステムなど、実用性が高く、災害時でも心を落ち着け暮らしを守るアイデアはどれも参考になります。日常から取り入れる「備えない防災」という考え方には、肩の力を抜いて災害対策を続けるヒントも感じました。
また、「そのとき」の先にある希望をテーマにした絵画やものづくりのデザイン、震災をきっかけに生まれた地域のコミュニティ活動など、災害後の再生や復興に向けた前向きな取り組みも紹介。過去の災害を振り返りながらも、「未来を希望で満たすために今できること」を考えさせてくれる展示でした。
共感・発見・修正という参加体験
展示の最後には、大きなスクリーンにさまざまな参加者の回答が映し出されます。他の人の考えに触れて、自分では思いつかなかった視点や実践方法を知ることができ、多様な意見に深い共感を覚えました。さらに、最初に自分が書き込んだ内容を再検討し、修正したり、参考になった他の人の回答をシールとして出力できる仕組みもユニークで、まるで防災知識の「交換日記」のような形でした。
防災を日常へ
今回の展覧会を通じて、防災は正解が一つではなく、個人それぞれの生活や価値観に寄り添って考え続けることが大切だと感じました。“そのとき”がいつ訪れるかわからないからこそ、日頃から情報を集め、自分と大切な人を守るための備えを見直し、誰かと知識や気づきを共有していくことがこれからの防災だと実感しました。参加型・体験型展示が、来場者一人ひとりの防災意識を自然に高めてくれる素晴らしい企画でした。


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